粛々と

心の置き場

眠る彼に口づけを

昨夜、なかなか寝付けず寝返りを繰り返していると隣から安定した寝息が聞こえていた。

起き上がり様子を見てみると、セミシングルのマットレスを二つ並べたベッドの上で、彼は私を避けるよう反対側の端に真っ直ぐ、仰向けに寝ている。熟睡しているようだ。

ふと、眠れない私の横でぐっすり眠る彼にいたずらをしようと思い立ち、彼の顔にそっと自分の顔を近づけてみる。なんの反応もない。


唇を合わせようと更に顔を近づけると、ぱちっと彼の目が開いた。

わ、と私が驚き声を出すのと同時に、彼は「むんっ」という掛け声とともに私の顔を振り払った。
痛いんだけど、と声をかけると返事がない。すぐにまた眠ってしまったようだった。


くそ、なんで仕打ちだ。私は諦めず、次は彼の横に寝転がって彼を抱きしめようと、彼の体に手を回した。

パチンっ

次は無言で手を弾かれた。
酷すぎる。私は諦めて一人で眠りについた。



という話を朝彼にしたら、「どうりで!体がギシギシすると思ったらハルちゃんが抱きしめてきたからだね」と笑いながら言った。そもそも昨夜のことを何も覚えていないらしい。

抱きしめようとしたら手を弾かれたんだってと再度説明すると、でも体が痛いよおかしいなと言う。まるで私が子泣き爺かのような扱いだ。



昨夜私が不貞腐れて寝る前、「ナツくん、そんな端っこで寝ると落っこちちゃうから真ん中においで」と彼に声をかけると、う〜と言いながら彼は上半身だけ真ん中に寄せた。下半身は端のままだ。きっと斜めに寝ていたから体が痛いのだろうが、結局私のせいにされるので黙っておくことにした。